軟弱粘性土地盤上に構築された道路・鉄道盛土や河川堤防など盛土堤体自体に液状化が生じる場合の挙動については,水位以下の飽和層のみを液状化対象層とする現行の液状化判定法や有効応力解析手法では被害を説明できない。そこで,水位より上方の不飽和土の力学特性を考慮して挙動を明らかにすることを目的とした研究開発を行った。 まず,不飽和土の繰返し載荷に対する強度・変形特性を把握することを目的として,これまでに実施されている繰返し三軸試験とは異なり,繰返し中空円筒ねじり試験を実施した。載荷試験は三軸試験と中空ねじり試験で同じひずみ履歴を与えたが,初期状態が同一あっても異なる応力経路・応力ひずみ関係が得られることを確認した。 これらの挙動を,数値解析によって再現を試みたところ,繰返し載荷前の飽和度やサクションの大きさに応じて,応力経路や供試体の体積変化を適切に表現できることを確認した。更に,応力制御条件下での三軸試験および中空ねじり試験の解析を行ったところ,飽和土の試験とは異なり,ひずみ振幅5%に到達する回数が両試験法で異なることがわかった。 さらに,盛土堤体液状化現象の対策工を提案することを目的として,盛土ののり尻部での排水を行う対策工の効果について数値解析による検証を行った。その結果、無対策の場合と比較してのり尻部を中心に過剰間隙水圧の上昇を抑制することや,盛土体に生じるひずみを低減できることを確認した。
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