研究課題/領域番号 |
15K18129
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研究機関 | 国立研究開発法人港湾空港技術研究所 |
研究代表者 |
鶴田 修己 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (30747861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 粒子法 / 移動境界条件 / 固液混相流 / 解像度可変型スキーム / 高精度粒子法 / マルチフィジクス |
研究実績の概要 |
本研究では,解像度可変型スキームを適用した高精度固液混相流モデルの開発から,粒子法によるマルチフィジクスへの展開を目標としている.初年度では,研究計画の通り,1)高精度固液混相流モデルの開発および既往実験との比較検討,2)解像度可変型スキームのベンチマークテストための大型水理実験の実施に加え,H28年度実施予定であった,3)解像度可変型スキームの開発を一部前倒しする形で進めた. 1)スケールの小さい現象(漂流砂間の流体挙動など)を追跡するため,固相粒子よりも細かい液相粒子を用いて,申請者が開発した高精度自由表面境界条件モデル(SPPスキーム)の適用から固相粒子間の空隙における運動の自由度を確保した新たな固液混相流モデルを構築した.まず,扇状地における土石流の流動・堆積過程を対象に数値シミュレーションを実施し,既往の実験結果との比較からモデルの再現性を検討した. 2)(国立研究開発法人)海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所所有の大規模波動地盤総合水路を用いて,孤立波の構造物への衝突問題を対象に大型水理実験を実施した.実験では,構造物周囲の波高および流速を計測しており,それら計測結果を次年度に開発予定の解像度可変型スキームのベンチマークテストに利用する予定である. 3)高精度自由表面境界条件モデル(SPP)を用いて,従来では対応が困難であった異粒径粒子間に生じる不規則な空隙の配列すなわち離散点の欠落を解消するための混合粒径モデルを構築した.その後,粒子径を任意の断面で動的かつ安定的に変更させるため,自粒子の密度ポテンシャルを新たに考慮し直した高解像度化スキームを構築した. これら成果は,国内外でのジャーナル投稿や学会発表などを通じて対外発信を行うとともに,モデルの妥当性について有識者らと意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度の研究計画では,固液混相流モデルの高精度化および大型水理実験を予定していたが,両課題ともに予定通り研究を進めた.ただし,固液混相流モデルの高精度化は,固液の位相境界面をよりシャープに捉えるためのモデル開発を次年度も進めたいと考えている. H28年度に予定していた解像度可変型スキームについては,H27年度内で前倒しの形で研究を進め,従来と比較してより高精度かつ安定的なモデルの枠組みを開発済みである.これについては,計算の動的低解像度化のためのスキームとモデルの更なる高精度化をH28年度に引き続き進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
H27年度に,解像度可変型スキームの開発を前倒しで進めたため,当初の研究計画で立てていた解像度可変型スキームの構築にかかる期間分の一部を,固液混相流モデルの高精度化に当てる予定である.水理模型実験では大型水理実験に加え,津波に代表される構造物背後の越流水塊による局所洗掘を対象に水理実験および数値シミュレーションを実施し,モデルの再現性の検討と高精度化に取り組む予定である.
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