研究課題/領域番号 |
15K18131
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中西 航 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任助教 (70735456)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歩行者 / 交通流 / 空間相関 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、人物挙動に関する数理的議論の整理・統合を通して、大量データが存在する場合の歩行空間評価方法の進展に繋げていきたいと考えている。 平成28年度においては、平成27年度の成果である歩行者流の流量-密度関係における空間相関について、空間を連続化して扱う手法の適用を行った。このことにより、空間の離散化による出力結果への影響を低減することが可能となった。なお、空間を連続化する手法にはいくつかの欠点があることが分かっており、その最大の課題である対象とする領域の周縁部における境界条件の設定方法について、その影響を緩和する手法の適用を同時に行ってきた。 また、渋滞流における歩行者流の実データの取得を行い、同様の検討を進行中である。このとき、渋滞流においては、歩行者の挙動が局所的は安定しにくいため、評価に用いる変数選択によって変数間の関係性の見通しを明瞭にするという昨年度の自由流における成果は、そのままでは用いにくい。一方で、大域的に見た場合には個人に由来する揺らぎは小さくなるとも想定される。そこで、渋滞流においても自由流同様に変数間のミクロ-マクロ関係について基礎分析を行ったうえで、両者の利点を生かして分析に入力するための手法を検討した。 これらの成果をもとに、利用する変数の選定、変数の定義方法の選択、回帰式の選択を一貫して行うことにより、歩行空間の性能評価を系統的に行う方法の提案を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の通り、空間統計手法を導入し、その導入方法による結果への影響の分析も行った。また、空間の離散化手法の影響、空間を連続のまま扱う場合の利点と欠点、それらと利用する変数やその適用範囲との関係性について整理を行った。統合的手法開発に向けておおむね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
全体としては順調に進んでいると考えており、引き続き予定通り進行していきたい。なお、変数選択にあたって、変数の定義方法の選択自体を求められることがよりいっそう明らかとなった。すなわち、ミクロ-マクロ間の変数の整合性を図る上で重要だということが分かってきたため、この点の解決を図ることを重点的に行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で代表者が研究機関を異動したことに伴い、実データ観測の日程確保において当初予定と異なる部分が発生した。そのため、物品費・人件費について前年度から引き続く未使用分が存在している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、観測を当初計画の通りの内容で行う予定であるため、当該物品費・人件費として考えている。
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