研究課題/領域番号 |
15K18134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮川 愛由 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70598193)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域経済循環 / 経済波及効果 |
研究実績の概要 |
地方創生が叫ばれる現在,大型店舗が地域に与える影響に関する知見が重要となっている.しかし,筆者らが知る限り,消費者の大型店舗での買い物が,地域経済に与える影響に関して,国内においては実証的な知見が見当たらない.本研究は,地方衰退の流れを断ち,地域内の資金流出を食い止め,域内の経済波及効果を高める「地域経済循環」の「構造改革」に向けて,0)先行研究のレビュー,1)それに基づく調査手法の検討を行い,初年度は,2)「地元商店」,「大型チェーン店」を対象とした実態把握調査を行い,両者の「地域に滞留するマネーの割合」を明らかにする.さらに,3) その違いによる地域経済への波及効果を検証するための産業連関表を作成し,4)シミュレーション分析により両者の地域経済への影響を推計する.5)その結果を踏まえて,地域経済循環の「構造改革」に向けた政策提言を行うものである.初年度は,消費者の買い物店舗の選択が地域経済に及ぼす影響の検証を目的として,京都市内の様々な経営形態の食料品小売店舗を対象に調査を行い,消費者の買い物支出の帰着先を分析した.分析の結果,買い物支出のうち京都市に帰着する割合が,大型店舗では地場スーパーや地元商店の半分程度であることが示された.本研究成果は,地域活性化に向けた望ましい消費者行動とは如何なるものかについての示唆を与えると同時に,大型店舗の進出による地域活性化への期待に疑義を唱えるものといえよう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定とおり,先行研究を参考に,小売業に対象を絞り,調査対象地域内に資本を有する「地元商店」と域外に本社をもつ「大型チェーン店」を複数店舗抽出し,調査を行った.得られた調査結果をもとに各種統計データ等に基づき,「地元商店」,「大型チェーン店」における「地域に滞留するマネーの割合」を推計により明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた調査結果を踏まえ,直接効果以外に,地域への波及効果を検証するために産業連関分析を行う.さらに,作成した産業連関表を用いて「地元商店」,「大型チェーン店」それぞれの売り上げによる地域経済への影響を推計する.
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