研究課題/領域番号 |
15K18135
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
氏原 岳人 岡山大学, 廃棄物マネジメント研究センター, 准教授 (20598338)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンパクトシティ / 人口減少 / 都市スポンジ化 |
研究実績の概要 |
今年度は、まず住宅地レベルの盛衰状態に着目して岡山県内の109地区を対象に都市スポンジ化(都市内部でスポンジ状に空き家や空き地が多数発生する現象)の実態を明らかにした。分析の結果、土地の循環利用にはインフラ整備状況等の"住宅地の質"が関わっており、相当に旧ければ多くの住宅地で衰退するものの、特に質の低い住宅地では早い段階からその傾向が見られた。スプロール的に拡大した質の低い住宅地は土地利用の循環が発生しづらく、結果として早期に衰退に向かう短寿命(健康寿命が短い)である可能性が高い。また、それら多くの空き地や空き家の存在が、その住宅地自体の価値をさらに低下させる負のスパイラルも懸念される。土地の循環利用を誘発させ、"住宅地の長寿命化"を図るためには計画的なインフラ整備によって住宅地の質を予め確保することが前提条件と言える。 その一方で、人口減少下では、都市スポンジ化に対応しつつ、都市自体をコンパクトに再編することが求められている。全国810の自治体(政令市、市、特別区)を対象としたアンケート調査(536自治体の回答)を実施し、わが国の空き家及び空き地対策の現状ならびにコンパクトシティとの連携実態を把握した。その結果、わが国の自治体はコンパクトシティ政策や都市スポンジ化に対する問題意識はあるものの、それら双方を両輪として具体的に解決するための方法論は確立できていないことが分かった。その現状をふまえて、空き家及び空き地状況に配慮したコンパクトシティ政策との連携手法を独自に提案した。本手法は、コンパクトシティ政策を住宅地レベルから検討するとともに、膨大に発生する空き家及び空き地に対して実際の都市構造の中で優先順位をつけながら対応できる点に特長がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでおり、一定の成果も出ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは都市スポンジ化現象を主に土地利用変化から捉えてきたが、今後は、その要因となる居住者意識に踏み込んだ分析を進めることで、居住者のライフスタイルを考慮した”都市スポンジ化とのつきあい方”について検討する。
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