研究課題/領域番号 |
15K18148
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小林 拓朗 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (10583172)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 廃棄物 / 油脂 / 高級脂肪酸 / メタン発酵 / 水晶振動子 / モニタリング |
研究実績の概要 |
油脂を高濃度に含有する有機性廃棄物をメタン発酵処理する場合に、油脂の嫌気性分解の中間体である高級脂肪酸による阻害が律速要因である。本研究は、連続運転中のメタン発酵槽内の高級脂肪酸の蓄積の進行を、現場で簡易・迅速に定量的に把握し、危険察知できるシステムを構築することを目的とする。27年度は(1)サンプルを測定セルへ流入させ、水晶振動子上に冷却晶析させるシステムを構築;(2)振動子上への脂肪酸の析出と、振動数減少量との間に定量的関係を確保するための検討。まず水晶振動子が設置された測定セルに対して、サンプル液を流入させるシステムを構築し、冷却による脂肪酸結晶の検出を試みたものの、パルミチン酸やステアリン酸濃度50-1000 mg/Lの範囲の測定液に対して、有意でかつ定量的な振動数変化を検出する方法の確立が困難であった。検出システムに変更を加え、α、β、γ-各シクロデキストリンや、ODS、C18等8種類程の脂肪酸吸着可能な物質を使って振動子表面を修飾し、高級脂肪酸吸着量と振動数との定量的な関係を認めることができた。C18が最も良好な定量性が得られ、かつ測定液のpHを中性以上として、脂肪酸の解離を促進させることで25-200 mg/Lの範囲で良好な定量性を再現性よく確保できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したような冷却による検出は困難であることが判明したものの、表面修飾によって、モデル排水では良好な定量性を保持する測定が実現できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず(1) 実汚泥サンプルでも定量的な測定を可能とする。また、(2)連続運転中の汚泥を採取して、それらを構築したシステムで測定する。それらを運転データと関連付けて、相関関係があるかどうかを明らかにする。
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