研究課題/領域番号 |
15K18151
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 敬 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00708373)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 強震記録 / 地盤構造モデル / 中京地域 / 地震動予測 / グリーン関数 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、平成27年度に整備したグリーン関数データベースをさらに拡充しつつ、地震動作成システムの構築を行い、併せて強震記録の収集を行った。具体的には、中京地域と大阪平野上の一部の地点について、長周期地震動を計算するためのグリーン関数を蓄積し、これを用いて地震動を計算するシステムを作成した。地震動作成システムは、Web上で誰もが利用することのできるものとして構築した。これは、弾性論に基づくグリーン関数の相反性を利用して、事前に計算してデータベース化しておいたグリーン関数を想定する震源モデルに適用して高速に地震動を計算することを可能とするものである。現在のところ、地震動作成システムは長周期地震動に特化したものとなっているが、平成29年度にはこれに地震動の短周期成分を予測する機能を付加する予定である。また、強震記録としては、期間中の2016年4月1日に発生した三重県南東沖の地震による強震記録を収集した。将来の南海トラフ巨大地震は、この地震と類似したメカニズムで発生すると予想されるため、この地震による強震記録の収集は今後の地震動予測において非常に重要となる。そのため、中京地域を中心とした範囲で多くの機関による強震記録を収集し、各地の地震動の特徴を一元的・統一的に整理した。これらの成果は、Journal of Disaster Research や日本建築学会構造系論文集、および日本建築学会2016年大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、平成27年度から29年度までの3か年の計画となっている。平成27年度は本研究課題の遂行に必要なグリーン関数データベースの構築と地震動計算プログラムの作成を行った。平成28年度は、グリーン関数データベースを拡充するとともに、地震動計算プログラムをWebベースのシステムとして実装した。平成29年度には、地震動作成システムの機能追加を行うとともに、地震シナリオによる地震動の違いを考察し、さらに対外的な情報発信の方法について検討を行う予定である。このような本研究課題の実施計画と、平成28年度の実績とを鑑みて、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に構築したWebベースの地震動予測システムをさらに拡充する予定である。また、これを用いて想定地震の震源モデルによる地震動の違いを考察し、おもに中京地域における長周期地震動の特性を把握する。さらに、地震動作成システムによる地震動計算結果を対外的に発信する方法について検討を行う。これには、地震動の強さの指標を震度・長周期地震動階級・標準層剪断力係数・層間変形角・免震層変位などの形で表すことや、映像と音声による擬似地震体験環境との協調による地震防災意識の啓発に利用することを考える。
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