本研究は、高強度鋼CFT柱と場所打RC杭をPC鋼棒で緊結した、ペンシルビル構造システムの開発をめざしたものである。研究では、①超高強度鋼を用いたCFT柱部材の開発と、②PC鋼棒緊結式ペンシルビルの地震応答性状の検討、の2点を具体的な研究課題と定め、平成27年度~平成29年度の3ヵ年で研究を進めた。 研究課題①超高強度鋼を用いたCFT柱部材の開発では、建築構造用超高強度鋼H-SA700を用いたCFT柱部材について、その耐震性能を終局状態を実験的に検討した。当該柱部材は、全塑性モーメントを発揮するに十分な靭性を有しており、建築構造部材として適用するに足る十分な耐震性能を有していた。これらの研究結果は、3編の英文ジャーナル(内2編はIF=1.0以上のSCI論文)、3編の全文査読付き日本語論文、2編の国際会議論文として発表した。 研究課題②PC鋼棒緊結式ペンシルビルの地震応答性状の検討については、対象建物上部構造の1構面を対象とした準静的載荷実験、RC杭基礎構造建物についての遠心場振動実験、有限要素法による建物の時刻歴応答解析を実施した。高強度鋼CFT柱を用いた上部構造物の復元力特性は、提案した各種算定法から精度良く評価できた。また、杭部材の損傷が造部構造物の地震応答に与える影響についても、その評価手法の基となる外力伝達機構を明らかにした。更に、建物全体の時刻歴応答解析から、高強度鋼CFT柱を利用する場合の経済的設計手法を提案した。これらの研究結果は、2編の英文ジャーナル(内1編はIF=1.0以上のSCI論文)、3編の全文査読付き日本語論文、2編の国際会議論文として発表した。
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