研究課題/領域番号 |
15K18157
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
崎原 康平 琉球大学, 工学部, 助教 (20647242)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 建築材料 / 塩害 / 飛来塩分 / 塩分浸透 / 可視化 / 耐久設計 / 維持管理 |
研究実績の概要 |
海岸付近で発生する飛来塩分量(以後,発生飛来塩分量と称す)は,観測地点における波浪条件や海岸地形および風況(風向,風速),さらに標高などの周辺環境に大きく影響されることが知られている。一方,研究代表者らは,海岸からの距離や標高,減衰の影響を考慮した飛来塩分輸送推定式(以後,提案式と称す)を提案しており,上述した周辺環境を定量化(数値化)することができれば,内陸部に輸送される飛来塩分量をより的確に評価・予測することが可能となる。 その中で研究代表者らは,異なる海岸地形や風況を有する地域の発生飛来塩分量の検討を行っている。具体的には沖縄本島および長崎県端島において長期間観測した飛来塩分や風況の諸データを用いて,発生飛来塩分量を平均風速の二乗に比例すると仮定した二乗則を用いて検討している。その結果,沖縄本島における推定値は,実測値と比べ良好な結果を得ることができたが,長崎県端島においては,二乗則による推定値は実測値の傾向を捉えることが難しいといった問題があった。 そこで当該年度では,海岸付近で発生する飛来塩分推定式の再検討を行い,新たに提案する発生飛来塩分推定式を用いて内陸部に輸送される飛来塩分を推定し,その推定結果を観測結果や既往の飛来塩分輸送推定式の研究結果と比較検討を行った。その結果,発生飛来塩分量と平均風速の検討においては,指数則が二乗則に比べ,より実測の傾向を捉えることが確認された。また,提案式は海岸からの距離だけでなく,標高や減衰の影響を考慮できることがわかった。しかし,飛来塩分は建物による遮蔽効果や海風の吹き上げや巻き込み等にも影響されるため,次年度においては,上記因子の数値化を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎月の飛来塩分測定も実施できており,異なる周辺環境における飛来塩分量の比較も行っている。また,飛来塩分に関する文献の調査・収集も行っており,本年度では,これら文献を整理するとともに,海岸付近で発生する飛来塩分の周辺環境因子の選定や数値化に関する検討を行う予定である。以上のことから,研究計画通りにおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に,飛来塩分量の観測と風況データの観測を続ける。さらに,飛来塩分に関する文献調査・整理も併せて行う。また今年度以降は,飛来塩分観測場所の周辺環境を数値化し,提案している飛来塩分輸送推定式に組み込むことで,推定値の精度向上を図る。なお,数値化に関しては数量化理論を用いた多変量解析による検討を考えていたが,膨大な観測データが必要になることが懸念されたため,ファジィ理論による検討も予定している。さらに,上記推定値と実測値および既往研究の結果と比較検討し,本研究の有効性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入および旅費の使用額において,当初予定していた額から38,314円の残金が残った。この残金は無理せず次年度の物品購入または旅費へ有効利用する。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に残った次年度使用額38,314円も含めて,適正な使用を行う。
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