SFRCCを用いたあと施工アンカーの高強度接合法

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K18158
• 研究機関: 北九州市立大学
• 研究代表者: 保木 和明 北九州市立大学, 国際環境工学部, 講師 (70599026)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: あと施工アンカー / 単調載荷 / せん断実験 / 数値モデル / 有限要素法 / コンクリート

研究実績の概要

本年度（平成27年度）は，鋼・コンクリート合成構造における高強度接合法の実現に向けて2つの研究課題を実施した。1つ目は実験的検討である「あと施工アンカーのせん断耐力における基礎性状の評価」，2つ目は解析的検討である「汎用解析コードを利用した数値解析モデルの構築」となる。以下にそれらの概要について述べる。
実験的研究では，あと施工アンカー単調載荷せん断実験を用いて，「あと施工アンカーとコンクリートによる接合」の力学特性を検討した。本研究で提案する「鋼・コンクリート合成構造における高強度接合」では，鋼製スタッドを密に配置して接合部を高強度化していることから，あと施工アンカーでもそれと同様な配置とした高強度化が必要となる。そこで，密実に配置したあと施工アンカーの単調載荷せん断試験を実施し，あと施工アンカーとコンクリートによる接合の基礎性状を把握した。実験変数を一般的に使用されるアンカー間隔（コンクリートを用いたときの最小アンカー間隔）の領域に配するアンカー本数とした。なお，あと施工アンカーの最小配置間隔は，施工限界間隔とした。
次年度以降の計画にあるSFRCCを用いた鋼製スタッド・あと施工アンカーによる接合の合理的設計法を提案するためには，数多くの実験結果が必要となる。しかし，構造実験は試験体を必要とするため，その数は限られてくる。そこで，解析的研究では，不足する実験結果を補うため，有限要素法による数値解析モデルの構築を行った。ここでは，まず，あと施工アンカー単調載荷せん断実験の結果と比較することから，数値解析モデルの妥当性を検討した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は予定通り「あと施工アンカーのせん断耐力における基礎性状の評価」および「汎用解析コードを利用した数値解析モデルの構築」の2つの研究課題を実施し，一定の結果を得ることができており，ほぼ計画通りに進んでいる。一方，数値解析では脆性材料であるコンクリートを扱うため，解析モデルの不安定性が残る（解析結果が収斂する場合と収斂しない場合が起こる）。より多くの解析変数を用いて検討するためには，より安定性のある解析モデルの構築が求められ，次年度も継続して検討する。
以上のことから「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

今後は，本年度実施した「あと施工アンカーのせん断実験」の実験変数を増やした実験を行うとともに，数値解析の安定性を向上させた解析モデルの構築をめざす。さらに，構築した解析モデルを用いて実験データの補間を行い，鋼・コンクリート合成構造における接合部の高強度接合法の実現をめざす。