(1)病室およびその周辺の環境不具合の実態 【発生時期別環境不具合の分析】熱環境に関しては月別不具合発生件数が6、8、12月に顕著に多い。6月は「空調機器不良」や「暑い」と感じる不具合が増加する。8月は「空調動作不良」や「空調機器不良」が増加する。12月は「空調動作不良」や「寒い」が増加する。水環境に関しては、7月、8月は水消費量が増加するため、不具合も増加している。水消費量のトレンドと相関が高かったのは「排水不良」と「漏水」であった。【診療科別環境不具合の分析】不具合申告件数が最も多いフロアは小児科、小児外科の病室のあるフロアであった。ヒアリングによると保護者からの要望への対応が多いとのことであった。具体的な不具合の要因としては、FCUなどに異物を入れてしまう、排水溝に食べ物など異物を流してしまうことによる詰り等が目立っていた。【部屋用途別環境不具合の分析】特に故障・不具合が多い部屋はトイレであった。大便器の故障・不具合の原因として、便器の詰りの占める割合は顕著に大きい。この中で、トイレットペーパーによる詰りと記された記録が多い。 (2)スタッフステーション(S.S.)における、生産性向上に関する調査 【S.Sの利用実態に関する調査】実測調査よりS.S.では記録閲覧、準備後片付けが主に行われる。また、会議・引き継ぎ等スタッフ間の意見交換も行われていた。【S.S.に求められる空間・環境調査】アンケート調査を行った結果、知的生産性を低下させる環境要素としてS.S.では音環境が23.7%と最も高い。原因として「声が廊下や周りに漏れやすく業務がしにくい」という回答が特に多かった。一方、病室では光環境と部屋のレイアウトが16.0%と最も高い。 以上の結果より、患者や病院スタッフ両者の視点から病院病棟の適切な環境計画、環境管理基準設定のための室内環境に対する要求事項が明らかになった。
|