研究実績の概要 |
特別支援学校における課題として,バリアフリー化やEV等の早期設置,便所の車椅子対応,ハード面の設計段階での整備が挙げられる.空間デザインでの課題として,わかりやすいランドマーク,視覚的な教育環境,用途制限のない空間の確保,可動式の共有設備,短くわかりやすい動線,車椅子でも使いやすい施設・設備が挙げられる.今後は,人的態勢や施設条件の違いによる各校の特徴や学校間の差異についても詳細な分析が求められる。 障害種別毎に必要な対応としては、【視覚障がい児生】視覚障がい児生が生活上で困る事柄は情報の収集であることから,わかりやすいランドマークによる情報提供が求められるとともに,全盲と弱視児生の両者への配慮や障害の重複化による車椅子利用者への配慮も求められる。【聴覚障がい児生】聴覚障害を有する児童・生徒は音や声による情報が得られない為,視覚的に情報収集できる環境が求められる.また,補聴システムの整備等による聴覚的な教育環境の整備とともにICT機器など視覚的な教育のための環境整備も求められる。【知的障がい児生】知的障がい児生への配慮として,児童生徒数の変化や障害特性などのニーズへの対応として柔軟性のある空間および用途の制限がない空間の確保,さりげない防犯・防災デザイン,作業学習空間の充実が求められる。【肢体不自由・病弱児生】小学部の空間では動線空間に配慮が必要であり,また教室・トイレ間の動線が短い必要があることがわかる.車椅子やバギー等の支援器具を利用する児童・生徒への配慮として,広い空間,車椅子でも利用可能な設備,適切な動線計画が求められる.肢体不自由児生の身体的学習のための教材・教具用空間の確保,プールの通年利用,病弱児生への配慮として空気清浄機や全館冷暖房の設置が求められる。
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