本研究では、中世に建設された東地中海地域のドームを有する建築を対象に、4回の現地調査を通して130棟以上のドーム建築の現状を把握するとともに、詳細な画像データや実測データを得た。 得られたデータを用いて、所在地域や創建年代を考慮し、各遺構の内部構成・外部構成・装飾形式の観点から、地域的・時代的特性について整理した。また、情報の少ない遺構については、併せて、創建年代の推定や修復の有無について検討した。 さらに、東地中海地域としてのドーム建築の系譜化の端緒として、アナトリア地域のイスラーム墓廟建築における特殊なドーム架構形式の系譜を、近隣建築文化圏の影響を考慮しながら導出し得た。
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