研究課題/領域番号 |
15K18204
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
齋藤 繁 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (30382477)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合金状態図 |
研究実績の概要 |
本研究では、回転引上法を用いて合金を溶解・成長させ、従来の溶解法で致命的な問題となる、金属の比重差による成分偏析を利用し多凝固組織を有する合金鋳塊を作製し、超高温熱処理を施し、各合金相の共役組成を決定することを当該年度の目的としている。 (1)Re-Nb-AlおよびRe-Nb-Si三元系合金の作製に関しては、回転引上法を用いる引上棒によって合金鋳塊の組織が大きく影響されるため、予め引上棒の結晶粒粗大化を行い、引上棒の作製条件を確立した。 (2)Re-Nb-Al三元系状態図の実験的検討では、作製したRe-Nb-Al合金を1500℃で2hの熱処理を施し急冷した後、合金鋳塊の断面組織および各元素の濃度分布を測定した。得られた結果より、Re-Nb系χ相には約10at%のAlが固溶し、一方、χ相と共役関係を有するNb-Al系合金相に約40at%のReが固溶することが分かった。これらの結果から、Re-Nb系χ相では拡散バリア層としてAlの拡散を抑制することが困難であると考えられる。なお、蒸気圧の高いAlが含有しているため、これまで実績のあるアーク溶解炉法を用いた合金鋳塊の作製も同時進行で行っている。 (3)上記(2)におけるχ相中のAl固溶量を低下するため、Crを添加したRe-Nb-Al-Cr四元系合金を作製し検討した結果、Re-Cr-Nb系χ相の場合、Al濃度が減少することが分かった。一方、Re-Cr-Nb系χ相中のCr濃度が増加するとAl濃度が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
合金鋳塊の作製において、回転引上法を用いる引上棒の結晶粒サイズによって合金鋳塊の凝固組織が大きく影響されるため、結晶粒粗大化のための引上棒自体の熱処理に時間を要したが、引上棒の作製条件を確立できた。今後は、Re-Nb-Al-Si四元系合金の作製および熱力学的検討を行うために、すでに作製した引上棒を使用し検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
Re-Nb-AlおよびRe-Nb-Si三元系合金状態図を明らかにし、Re-Nb-Al-Si四元系合金の実験的検討から、コーティングシステムの最適設計を提案する。これらの検討の際に、拡散バリア層の最適組成に関しても検討を進める。
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