研究課題
本研究は、従来は圧電体と理解されていたウルツ鉱型カルコゲナイト材料を強誘電体化することであり、その分極反転に関する研究を計算および実験を用いて検討してきた。第一原理計算結果より、ZnOの自発分極値は約90μC/cm2であり、また分極反転に必要な活性化エネルギーは0.3eVであった。これはチタン酸鉛と同等の値であり、まさにチタン酸鉛の場合は高品質薄膜の作製により分極反転を可能とした。BeOを軸として下部電極ITOもしくはPtをコーティングした(111)SrTiO3、(111)YSZ、c-sapphireの三種類の単結晶基板上に薄膜を作製した。すべての薄膜においてそれらは001に配向したが、その結晶配向性はFWHMで1°程度と非常に大きな値を示す。作製した薄膜の面内歪は引剥歪が印加されておらず、基本的には緩和した薄膜しか得られなかった。上部電極にPtを作製し、キャパシタ構造にて強誘電性を測定したが、分極反転は確認できなかった。これは計算より示唆された面内引張歪が不十分なことが原因であると考えられる。また、同様に酸素四面体の反転によって分極反転が期待できるε-Fe2O3構造についても検討した結果、(111)Nb:SrTiO3単結晶基板上に作製した薄膜において強誘電ヒステリシス曲線を得ることができ、分極反転を確認した。これは四面体構造の反転に起因するものであり、四面体の分極反転が不可能であったと考えられていたことを覆す第一歩となるデータであり、今後の四面体基強誘電体に期待が持てると考えられる。
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