昨年度に見出された多方向・多段階圧縮による集合組織制御は良好な結果が得られた。またある程度大型の試料に対しても適用が可能であることが確認できた。磁歪の評価までは至っておらず、いまだ論文投稿には至っていないが早急にまとめ、公表したい。 別事業において申請者が主体的に関与した、中性子回折による集合組織測定法は大きく進展しており、本研究で作製した試料にも中性子回折測定を行った。従来のX線集合組織測定でしばしば問題となる、同条件で変形した試料ロット間での差異が、バルク体積に対する中性子回折では非常に小さいことが分かり、より定量的で統計的信頼性のある測定から考察が行えることが明らかとなった。 本研究は、材料の微細組織と機能の相関を科学的に理解することで、より効率的なプロセス改善を提案することを目的としていた。微細組織に関するパラメーターの測定および測定手法の開発に重心を置きすぎた感はあるが、プロセッシングと性能改善の間にある、微細組織の情報がいかに重要であるか、という点については学会発表等を通じ発信することが出来たと考えている。 科学的な立場からは、優先動的結晶粒成長と申請者らが命名した微細組織形成機構がFe-Ga合金においても活動し得ることが確認されたことは大いに意義がある。BCC系では最初の研究となったFe-Si合金以外の合金系では観察例が少なかったが、Fe-Ga系では特に活発な成長が観察された。しかしながら変形条件に対するその活動度の依存性はFe-Si合金とは異なっており、新粒生成型の動的再結晶との競合を示唆するケースが見られた。この動的復旧メカニズムの遷移が生じる理由は未だ不明である。将来の研究課題として大いに興味が持たれる点である。
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