研究課題/領域番号 |
15K18235
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山 元道 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20722705)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 水素脆化 / ケルビンプローブ / 銀デコレーション / 損傷成長 / 複相鋼 |
研究実績の概要 |
本研究は、二相鋼の水素脆化機構解明を目的として、汎用的な損傷成長挙動の評価手法およびマルチスケール水素分布可視化手法の確立を試みた。 発生、停留、成長の三段階に特徴を分割して行わる損傷成長挙動の解析は、フェライト/マルテンサイト二相鋼だけでなく、オーステナイト/マルテンサイト二相鋼にも適用可能であることを示した。具体的には、オーステナイト/マルテンサイト二相鋼では、オーステナイト/薄板状マルテンサイト界面および、薄板状マルテンサイト同士のジャンクションが水素助長損傷の発生起点となり、オーステナイト部で損傷が停留することが明らかとなった。このため、Ni偏析などを用いた、オーステナイトの安定性の不均一化は、耐水素脆化特性改善に対して有効であることが示された。 水素の可視化については、Kineticallyな解析についてScanning Kelvin Probe Force Microscopyが、マルチスケールな解析について銀デコレーション法が有効であることが示された。前者は上記のマルテンサイト界面における水素のMobilityが高いことを高解像度で経時変化を示すことで明らかとした。また、銀デコレーション法は一般に走査型電子顕微鏡によって行われるが、近年のデジタル光学顕微鏡で十分有用な情報が得られることがしめされ、100-2000倍程度の水素分布解析が容易にできることを示した。これら解析結果では、いずれもマルテンサイトのジャンクションにおいて界面の水素Mobilityが高いことを示しており、上記、水素助長損傷形成にあたって、局所の水素のMobilityが非常に重要であることを視覚的に示すことに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画した内容の研究はすべて順調に遂行されている上に、銀デコレーション法においては、相界面レベルのきわめて高分解能の分布解析に成功した。この、銀デコレーションによる高分解能解析は当初期待していたなったものである。
|
今後の研究の推進方策 |
現在のところ、すべて順調である。研究計画に示した内容とこのまま推進するとともに、追加して、高分解能銀デコレーション法の技術確立を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に計画していた出張がキャンセルされましたので、次年度使用額が生じました。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の件、次年度に変更になりましたので、次年度使用額は2016年度出張旅費として使用いたします。
|