研究課題/領域番号 |
15K18242
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
御田村 紘志 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (90437054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ITOモノリス / マイクロ構造 / 酸化亜鉛 / 太陽電池 |
研究実績の概要 |
本研究では、ITOからなるマイクロ構造多孔体であるITOモノリス上に、n型金属酸化物半導体とp型酸化物半導体を析出させ太陽電池等への応用を目指す。ここでは、ITOの電子集電性とモノリスのもつ高表面積、共連続性、光散乱効果から、p/n接合界面の高表面積化や高い電荷分離能、光利用率が見込まれる。本年度はn型半導体である酸化亜鉛の析出を電解析出で行ったが、ZnOの連続な膜は得られずピンホールの多い膜となった。そこで、同じn型半導体である酸化チタンをホールブロック層としてゾルゲル法によって作製することを試みた。脱水メタノールに水がメタノールの1/10~1/5になるように加え、テトラブチルチタネートを溶解させゾルゲル溶液とした。これにITOモノリスを浸漬したが、XPSによる明確なTiのピークが見られず、有意なTiOxの析出は見られなかった。これ以外にも酸化亜鉛のナノ粒子分散液にモノリスを浸漬して、モノリス細孔内に当該粒子を担持しピンホールを低減する方法を試みている。また、本研究では、マイクロ構造体作製およびピンホールを低減する別のアプローチとして、レーザーによる光焼成と光溶融を用いたITOやZnOのマイクロ構造の作製にを試みた。レーザー溶融については405nmのブルーレイレーザーを用いてZnOの溶融を試みた。現波長ではZnOやITOに対する吸収が小さいため効率的な光溶融が確認されなかったが、ITO上に光増感層としてp型半導体とされるポリピロールを電気化学的に積層させることでZnOの光溶融が可能となることを見出し、マイクロ構造の形成も確認した。この光溶融プロセスによりZnO/ITO間のピンホールの低減も期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
酸化亜鉛層に生じるピンホールの問題を解決できていない。現在ゾルゲル法やレーザー溶融などの様々アプローチを試みているところである。
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今後の研究の推進方策 |
ITOモノリスのような複雑な形状の電極上では、酸化亜鉛(ZnO)は電析の際に多くのピンホールを生じるため、レーザー照射等によりZnOを一時溶融させピンホールを埋めるなどの方策を検討する。また、ピンホールを生じにくい半導体(例えば有機物半導体やゾルゲル法により得られる半導体など)についても検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画通りに進まず、研究計画に変更が生じたため。次年度に物品費(試薬や電極部材、光源等)を含め、情報収集や研究発表のための旅費などとして適宜使用する。
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