本プロジェクトでは,ものづくり基盤技術である鋳造プロセスと,先端的システム制御・情報工学技術の融合により,高生産能力を維持しながら複雑造形・安定品質を達成する金属製品生産プロセス技術の開発を進めた.本課題で着目するプレスキャスティング法は,従来鋳造法における複雑形状の一発成形の利点を活かしつつ,成形プロセス中の溶解金属充填速度を精密に制御することができる.乱流発生を抑制し,さらに成形保持圧力を適切に制御することで鋳物品質の画期的な向上が可能となる.とくに,プレスキャスティングによる層流充填の安定化を図る数理計画法と充填挙動予測制御系を構築しており,充填プロセスの最適設計法を提案した.実際に高温溶解金属を用いた試験を実施し,提案プロセス制御法の有用性を実証した.
構築した鋳造プロセスのスーパーバイザリ制御システムは,プロセス中のさまざまな物理的状態変化を考慮して結果を予測して,適切な制御入力に修正することで良い結果を自動的に得られる.提案システムは,材料や温度に依存する液体の性質を測りながら適切な流動制御を行うため,安定した高品質鋳物を高速成形することを実現する.システムダイナミクス解析,プロセスモデリング,知的センシング・予測システムを統合的に設計することで有効性評価を進めた.
鋳型内の液位/流速の充填挙動を事前に予測して流動乱れが極力抑制される鋳型姿勢を自動的に設計して造形する鋳型造形アルゴリズムを構築した.実プロセスでの金属温度・粘性流動・体積の変動に対応して品質安定を補償するために,荷重センサ情報処理による環境適応型の充填制御システムを構築した.実際の充填プロセス中に発生する熱流動や体積誤差をリアルタイム可観測情報から少し未来を予測しつつ,充填速度を調整して成形品質を向上させる工程制御手法である.溶融金属(鋳鉄)を用いて,アクティブな充填制御方式の効果を検証した.
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