本研究では,太陽光エネルギーを最大限に利用した光触媒材料の構築のために,金(Au)を用いた様々な化学反応への展開を目的としている.報告者はこれまでに,AuのSPR誘起型光触媒を用いた様々な化学反応(有機化合物の選択酸化反応,アルコールからの水素生成反応,有機化合物の還元反応)を積極的に展開してきた.種々の化学反応への応用,それぞれの化学反応に適応した材料の創出を報告した.交付申請書の「研究実施計画」には「Auと異種金属ナノ粒子/金属酸化物半導体を用いた光触媒反応」と記載した.固定化法の新たな手法として,含浸法とコロイド光電着法を組み合わせた. <具体的内容> 酸化チタン(TiO2,金属酸化物)上にNiOxを含浸法により担持した後,コロイド光電着法によりAu粒子を担持した.これにより,Au粒子とNiOxが金属酸化物上で離れて担持することができた.この材料を用いて純水の完全分解反応に成功した.この成果を論文として,Chemical Scienceに掲載された.この報告では,Au粒子がもっとも有効に利用できる550nm付近の吸収だけでなく,600nm以上の光を用いた場合も水分解に適応することを示した. また,AgやCu粒子単独でSPR光触媒として利用できることを明らかにし,学会発表を行った.この報告では,これまで,Auと複合することで利用できていたAgやCu粒子のSPR吸収を単独で駆動できることを明らかにした. <意義・重要性> 以上の結果より,Au粒子のSPR光触媒を用いた純水の分解反応および様々な工夫を施すことでAg,Cu粒子のSPRを単独で利用できることを明らかにした.
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