本研究は、構造・機能の改変自在性を持つ両親媒性ペプチド (PA) からなる集合体に着目し、多種類のPAを構造体内で局在化させた、ヘテロ接合型のPA共集合体の創製を目的としている。前年度までに、一次元に集積化する各種PAの合成とPA共集合体の調製方法の検討を行い、疎水部にハイドロカーボン系アルキル基とフルオロカーボン系アルキル基を導入したPAを用いて、共集合構造の制御が可能であることを示唆する結果が得られた。そこで最終年度となる本年度は、集合体表面に機能性分子 (蛍光基、小分子リガンド) を導入し、これまでに確立した調製法に従いヘテロ接合型のPA共集合体を創製し、その分析と機能化に焦点を当て、取り組んだ。 まず、それぞれのPAに緑色蛍光基と赤色蛍光基を導入し、共焦点レーザー顕微鏡による集合構造の直接観察を行った。PA混合比に従い、ドメイン形成の制御が可能であることが示唆され、本研究手法の妥当性と実現性が確認された。続いて、抗原-抗体反応によるPA集合体上へのタンパク質の集積化を試み、PA種特異的なタンパク質の集積が認められた。さらに、小分子リガンドであるビオチン修飾PAを利用したタンパク質の選択的集積化にも成功した。 以上、PA共集合体の新たな制御法とその修飾法という本研究の概念実証を達成した。得られた成果は国際学会での招待講演1件、国内学会での招待講演1件を含む国内外の学会10件で発表し、当該分野での成果の共有に努めた。
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