近年注目を集めている小型衛星は低コスト、短い開発期間という利点から、多数の衛星を軌道上で編隊飛行させる多地点同時観測、継続地球観測といったミッションが提案されている。ところが小型衛星では、重量、スペース、推進薬(燃料)搭載や管理等のコストのため編隊維持に必要な推進器の搭載が困難である。従って、ほぼ全ての小型衛星が軌道制御能力を持たず編隊飛行を簡易に実現できない。本研究では電磁コイルから生じる宇宙プラズマ抗力を利用した燃料が不要で重量が小さい新しい軌道制御手法を提案する事を目的とした。 本研究では、最初に軌道上にて小型衛星が受けるプラズマ抗力の昨年度の検討結果をもとに、小型衛星に搭載可能なサイズの磁気トルカから環境外乱に対して大きな力を出力可能かについて評価を実施した。これにより空気抗力やJ2項に対して大きなプラズマ抗力を発生できる事が分かった。次に軌道制御則検討のため、検討に用いる軌道シミュレータに地球磁場モデルであるIGRFモデルと宇宙プラズマの環境モデルであるIRIモデルを実装しシミュレータの精緻化を実施した。開発したシミュレータを用いて簡易的な軌道制御則により、2つの衛星における相対軌道を制御可能である事を確認した。さらに磁気トルカによるプラズマ抗力の大きさに関する検討もPICシミュレータを用いて実施し外部磁場が存在する場合、姿勢角によってはプラズマ抗力が大きくなる可能性がある事が分かった。
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