研究課題
本研究の目的は、レーザー核融合磁気推進で有力な推進システムと考えられる磁気ノズルの動作を検証することである。これまでの実験から磁気ノズルによる推力発生を確認したが、磁場の時間変化、最適な磁場構造や強度、プラズマの状態等は計測できておらず、数値計算とも大きな差異があった。そこで高出力レーザー生成プラズマと電磁石による強磁場を相互作用させ、磁場とプラズマの挙動を時間分解して可視化しプラズマの温度・密度等パラメータを計測するシステムを構築した。希薄で比較的低温なプラズマの温度・密度・速度を精度よく計測するため、高波長分解能である分光器を作成し、磁気ノズル内のプラズマ計測に成功した。また、実験を再現する数値計算コードを開発するため、プラズマアブレーション過程を計算する輻射流体シミュレーション、およびその後の磁気ノズル内でのプラズマ挙動を計算するハイブリッド計算を改良し、実験で得られるイオン密度分布の再現を試みた。完全に定量的な一致までは至っていないが、以前より2桁以上の改善が見られた。プラズマアブレーションを計算する際に磁場を導入することで、さらなる再現性の向上を試みた。新たに導入した輻射磁気流体計算による初期プラズマ生成過程を確認した。今後さらに長時間の計算を行うことで、推力発生の確認と実験との定量的比較を目指す。本研究では、さらに推力方向を制御する新たな試みとして、複数コイルを組み合わせた磁気ノズルを作成し、プラズマ排出方向の制御実験を行った。駆動コイル数と電流を制御することで、プラズマの排出方向を変化させることを実験的に明らかにした。さらに同システムの数値計算を行い、実験で得られたプラズマ構造の再現に成功した。本結果は現在論文投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Physics: Conference Series
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Plasma and Fusion Research
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