本研究計画では、グラウト粒子-流体間相互作用を厳密に考慮し、粒子の三次元的な流動挙動をも再現可能な三次元CFD-DEMコードの開発を行い、岩盤中のグラウト流動挙動の解析を行う。これにより、不明瞭であったグラウト流動挙動を詳細に把握、制御することが可能となり、合理的な設計・評価に資することができる。 平成27年度の研究においては研究の基礎となる三次元CFD-DEMコードの開発を行った。グラウト流動挙動には種々の物理・化学的現象が複雑に影響しており、これらの影響について表現可能な解析コードを構築できた。 平成28年度の研究においては、開発を行った三次元CFD-DEMコードを用いて単純な条件のもとでシミュレーションを行い、実験データや理論解と比較することでCFD-DEMコードの妥当性および適用性を検討した。解析の結果,グラウト注入試験で観察されたように,出口より流出するグラウトの濃度が徐々に薄くなり最後に目詰まりを起こす現象を再現することができた。また,流出側のグラウトの濃度の変化を比較したところ,モデル内セメント粒子濃度の増加による流出グラウト濃度の増加と,大粒子が密集することによる流動阻害が流出するグラウト濃度に大きく影響していることがわかった。 これまでの研究の結果、三次元計算は膨大な数のセメント粒子と流体計算における計算格子を取り扱う必要があるため、将来的に現場スケールでのグラウト適用を考慮した解析を行うためには解析コードの高速化が必須であることが明確となった。そこで、平成29度の研究においては最新の高速並列計算技術を取り入れるなど、三次元CFD-DEMにより高速かつ安定した計算を行うことができるように解析コードの高度化を行うための検討を実施した。
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