研究課題/領域番号 |
15K18318
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 大介 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30630024)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中性子ラジオグラフィ / 静電容量式液膜センサ / ボイド率 / 沸騰二相流 / 液膜厚さ / 狭隘流路 |
研究実績の概要 |
狭隘流路内沸騰二相流における壁面濡れ性の影響を明らかにするために、本年度は直流電源設備及び狭隘流路実験装置の整備を行い、予備実験を行った。直流電源として5000A電源と1200A電源の2つを整備し、それぞれを用いた通電加熱による沸騰実験への適用性を確認した。狭隘流路実験装置は、隙間1mm幅40mmの流路断面積を持ち、片側壁面に加熱電極を有し、非加熱面は可視化用ガラスを設置している。電極の大きさは30mm×360mmである。電極へ直流電源装置から通電することで加熱し、流路内に沸騰二相流を形成することができる。本年度は、狭隘流路内における沸騰二相流の流動様相および限界熱流束特性について調べ、従来の研究との比較を行った。本装置において昨年度構築した液膜厚さ分布測定法を適用するため、まず電極対から成る液膜プローブを試作し、非加熱側壁面へプローブを設置することで静電容量式液膜計測の適用性について検討を行った。本測定では、通電加熱部へのセンサ設置にあたり、測定機器への影響が懸念されるため、電気回路の絶縁性についても検討した。また、本年度も研究用原子炉が停止しており、中性子利用がなかったため、X線ラジオグラフィによって二相流ボイド率測定における前処理や算出方法に関して精度検証を行った。さらに、最終年度に中性子ラジオグラフィと液膜センサによる同時計測を行うための試験部についての検討および液膜センサの設計製作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画では、中性子ラジオグラフィと液膜センサによる加熱面上液膜挙動の計測を行うことを目的としていたが、京都大学研究用原子炉が新規制対応により停止中であり、中性子ラジオグラフィ実験の実施ができなかった。そのため、最終年度に同時計測を行う。また、通電加熱部への静電容量式センサ設置にあたり、海外研究協力者であるProf. H.-M. Prasserから絶縁回路を設けて静電容量式計測システムを保護するようアドバイスを頂き、フォトカプラ等を用いた電気回路に改良する必要性が生じた。以上より、本研究はやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
狭隘矩形流路内沸騰二相流の伝熱特性に関する基礎データを取得するとともに、液膜厚さ分布を計測するために静電容量式計測システムの改良を行う。また、中性子ラジオグラフィと液膜センサとの同時計測を行い、加熱面上液膜挙動を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都大学研究用原子炉が新規制対応により停止中であり、中性子ラジオグラフィ実験が実施できておらず、研究炉の稼働に合わせて試験部を作成するため。研究炉の稼働が見込めない場合はX線ラジオグラフィとの比較のための試験部へと変更を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
研究炉の稼働が決定し次第、試験部を作成し、中性子ラジオグラフィ実験に備える。
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