狭隘流路内沸騰二相流における加熱面上液膜挙動を中性子ラジオグラフィと液膜センサによって計測するために、昨年度までに構築した静電容量式液膜厚さ計測手法の空間分布計測への適用を行った。開発した多点計測センサを用い、水平管内における液膜流の計測を行った。そして、本手法を通電加熱体系における計測へ適用するために、電気回路の絶縁性等について検討を行った。しかしながら、高周波信号におけるノイズ特性やセンサの校正方法に課題が残っており、最終年度において加熱体系への適用まで至らなかった。今後、電気回路の改良を進め、沸騰二相流場における液膜計測を行う予定である。また、本年度は研究炉の運転再開により、中性子ラジオグラフィ実験を実施した。狭隘流路内沸騰は非常に高速な現象であるため、中性子ラジオグラフィ撮影システムの高度化を行い、時間分解能の向上を図った。それにより、これまで数百Hzでの撮影が限界であったが、高速度カメラを更新し、超高感度レンズに変更することで最大10kHzでの撮影を可能にし、管内空気―水系二相流の可視化計測を行った。しかしながら、十分なマシンタイムの確保が困難であったため、研究期間内に静電容量式液膜分布測定と中性子ラジオグラフィとの同時計測を行うことはできなかった。今後、同時計測実験を実施し、狭隘流路内における沸騰現象の知見の蓄積を行うとともに、壁面濡れ性の影響について引き続き調べていく予定である。
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