本研究は極低濃度の放射性ストロンチウム90を検出する高感度発光センサー開発が目的である。目的を達成するために「自己増殖型の化学反応システム」を考案した。システムは(I)ストロンチウムイオンを認識・媒介物質を放出する部位(Ⅱ)放出された媒介物質を増幅する部位(Ⅲ)増幅した媒介物質で化学発光する部位の3成分で構成され、各成分を連続的に反応させることで高強度の発光を検出する。媒介物質にフッ化物イオン(Fイオン)を用いて、最も重要な(Ⅱ)から(Ⅲ)の反応過程を重点的に研究した。判明したFイオンの増幅剤と化学発光物の最適混合比を用いて、Fイオンが極微量(0.20 nmol)でも発光による検出を達成した。
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