研究課題/領域番号 |
15K18325
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朱 春宇 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30749255)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リチウムイオン電池 / 酸化物 / 炭素材料 / 複合体 / 燃焼合成 / 負極 |
研究実績の概要 |
近年省エネルギー化・地球温暖化解消の観点から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを有効に活用するため、優れたエネルギー貯蔵・輸送技術及びデバイスの開発が不可欠である。中でも、モバイルエレクトロニクス、電気自動車やハイブリッド車等の研究が注目されており、そのためリチウムイオン二次電池等の優れた蓄電池の開発は大変重要である。リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上には、負極活物質の容量密度の向上が不可欠である。そして、本研究の目的は、液体燃焼合成法により遷移金属酸化物のナノ化及び炭素との複合化によって、リチウムイオン電池負極材料としての出力及びサイクル寿命の改善である。 平成27年度の実施内容と成果は以下の通りである。(1)鉄酸化物・炭素複合体の合成:硝酸鉄・グリシンを使った液体燃焼合成によって、多量のグリシン燃料の添加が炭素源となり、不活性雰囲気下での熱処理によりナノ酸化鉄・炭素複合体の作成に成功した。得られた複合体は、XRD、SEM、TEM等の分析技術を利用して、その形態及び構造を同定した。加え、複合体の充放電等の電気化学特性を評価した。従来のグラファイト負極に比べ2倍ぐらいの容量を有する複合体の開発に成功した。(2)酸化マンガン・炭素複合体の合成:上記鉄酸化物・炭素複合体の合成と同様に、酸化マンガン・炭素複合体の作製にも成功した。その最適な合成条件を明らかにした。 これらの研究成果の一部を国際学会・論文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目共に当初計画した事項は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(H28年度)は、更なる電気化学特性が有する複合体の合成に着目する。具体的に、液体燃焼合成のゲル原料を多孔質炭素母材(例えばケッチェンブラック、活性炭等)へ含浸し、不活性雰囲気下での燃焼合成により複合体を直接生成する。さらに、電気容量とサイクル特性を向上するため、適切なバインダーを選定する必要がある。また、電気化学サイクリックボルタンメトリー(CV)やインピーダンス等の測定を行い、反応途中の生成物の詳細な観察により、コンバージョン反応のメカニズムを解明し、理論に基づいて電極開発を実施する。
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