昨今、世界規模で人口が増加しており、経済成長と共に水の需要が急増している。国内の小規模離島においては海水淡水化設備で消費される電力料金が水道料金へ上乗せされるため、他の地域と比較して水道料金が割高となっている地域がある。一般的に海水淡水化施設を大規模化した場合の効率向上は容易であるが、小規模の場合は投資回収が困難であり、特に電力インフラが脆弱な離島等の水循環システム全体の最適化についての報告例は少ない。本研究では実際に海水淡水化設備が設置されている小規模離島を対象として、気象条件、雨水の活用及び水需要を考慮した水循環システムの最適運用法を開発する。また、停電時にも自然エネルギー発電設備によって稼働する防災対応型海水淡水化設備を検討し、当該設備の導入効果について省エネルギー及び経済的指標から評価することで最適設備容量の決定方法を提案する。現段階において、小規模の海水淡水化施設が設置されている沖縄県を対象とし、離島地域の地理、気候、水需要を調査した。また、類似する離島地域の地理、気候、水需要に関する資料収集を行い、既存の海水淡水化設備と水需要の水循環システムをモデル化を試行した。海水淡水化設備と再生可能エネルギー発電設備を協調制御するための水循環システムの最適運用法を検討し、当該設備の最適設備容量の決定方法を開発中である。
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