我々が会話をする時,喉や口の筋肉は様々なタイミングで呼吸と共に制御されている.この複雑な運動は,皮質と脳幹の神経活動に依存するが,両部位の相互作用の仕組みは明らかになっていない.小鳥は複雑な歌を歌い,歌に必要な神経核が皮質から脳幹部に渡って同定されているため,皮質と脳幹部の相互作用を理解する上で有用な動物である.従来の仮説では,前運動野相当領域のチェーン状の回路で,歌のタイミングが生成されると考えられたが,本研究では,温度操作および神経回路シミュレーション,さらに歌っている最中の細胞内膜電位記録をもちいて,歌のタイミングはHVCを含んだ大域的なチェーン構造から作られていることを明らかにした.
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