研究課題
小脳登上線維シナプス刈り込みへミクログリアが関与するかを検討するため、年度27年度には、ミクログリアを枯渇させる薬剤を発達期の小脳皮質に投与したり、新潟大学・﨑村教授、阿部先生の協力のもと、ミクログリアの分化と維持に必須であることが知られているCsf1rをミクログリア/マクロファージで特異的に欠損した遺伝子改変マウス(Csf1rcKO)を作成し、シナプス刈り込みに異常が認められるかを電気生理学的に解析した。その結果、正常なシナプス刈り込みには生後2週目のミクログリアの存在が必要であることが分かった。平成28年度には、ミクログリアがどのような機構でシナプス刈り込みに寄与するのかを検討した。ミクログリアは不要な構造物を貪食により除去する作用があるため、先ず、不要な登上線維を貪食する可能性につて検証した。順行性トレーサーであるビオチン化デキストランアミンをイソフルラン麻酔下の生後6-7日目の野生型マウスの下オリーブ核に注入し、登上線維を可視化した。併せて、抗Iba1抗体でミクログリアを可視化し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて両者の位置関係を3次元的に詳細に解析した。これまでのところ、生後2週目において、登上線維を内包したミクログリアは観察されておらず、ミクログリアによる登上線維の貪食は殆どないと予想している。ミクログリアは貪食作用以外にも、様々な生理活性物質の産生・放出を介してシナプス機能に影響する可能性がある。この点を検証するため、先行研究によって登上線維シナプスの刈り込みに影響を与えることが報告されているシナプス機能について、Csf1r-cKOマウスとコントロールマウスで電気生理学的に比較検討した。その結果、Csf1r-cKOでは刈り込みに重要ないくつかのシナプス機能が変化していることを示すデータを得ることができた。
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Cell Reports
巻: 16(4) ページ: 994-1004
10.1016/j.celrep.2016.06.053.
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