研究課題
野生型を用いた慢性疼痛モデル動物の作製及び疼痛に関する行動検査、GABAシグナル関連分子の発現変化及び運動感覚ニューロンの機能解析を既に進めている。その結果下肢運動機能評価(Sciatic Function Index, SFI)は手術後三日目に有意に低下し、28日目にかけ回復傾向を示した。K-Cl-Cotransporter2(KCC2)は運動機能を司る腰髄前角において、術後3日目に損傷側で発現が低下し、術後21日目及び28日目にかけ徐々に回復に転じた。感覚情報が入力する腰髄後角では、術後3日目及び7日目でKCC2の発現が低下し、その後回復に転じた。これらの結果から、坐骨神経損傷後、腰髄において前角及び後角ともにGABAは興奮性に作用し、神経の再生等に関与している可能性が示唆された。慢性疼痛モデル動物の解析と併せて、3種類のGABAシグナル関連遺伝子欠損ヘテロマウスの繁殖が順調で、既にKCC2遺伝子欠損ヘテロマウスについて坐骨神経慢性疼痛モデル動物の作成に着手することができた。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度での慢性疼痛モデル動物の解析と併せて、平成28年度に行う予定であった3種類のGABAシグナル関連遺伝子欠損ヘテロマウスの繁殖が順調で、既にKCC2遺伝子欠損ヘテロマウスについて坐骨神経慢性疼痛モデル動物の作成に着手することができた。
平成28年度及び平成29年度の2年間で3種類のGABAシグナル関連遺伝子改変動物を用いた研究を計画していたが、野生型の実験が既に遂行されていること及び遺伝子改変動物の繁殖が順調であることから、平成27年度ではKCC2遺伝子欠損ヘテロマウスに対する慢性疼痛モデル動物の作製及び疼痛に関する行動検査等を追加する。平成28年度では、平成27年度にKCC2遺伝子欠損ヘテロマウスを用いた研究の終了を予定していることから、GAD遺伝子欠損ヘテロマウスに対する慢性疼痛モデル動物の作製及び疼痛に関する行動検査等を行う。さらにVGAT遺伝子欠損ヘテロマウスに対する慢性疼痛モデル動物の作製などを開始する。
購入予定の試薬の納品が四月以降にしか出来ないため次年度に購入をすることにした。
四月以降に発注し研究を行う予定である。
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