情動は、しばしば行動に影響を与える。これまでの研究は、記憶や判断と言った認知行動が情動の影響を受けることを示しているが、その神経機構は未だ不明である。そこで我々は、サルに様々な情動条件下で認知課題を行わせ、情動への感受性を持つ神経細胞が多く存在する背側縫線核の神経活動を記録した。 負の情動条件では、課題遂行中のサルの自律神経系応答において、ストレス指標である心拍数の増大や瞳孔径の散大が観察された。また、多くの背側縫線核細胞が情動条件やサルの行動成績に応じて活動を変化させた。これらの結果は、背側縫線核において、情動と認知的行動の情報との融合が細胞レベルで生じていることを示唆している。
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