研究課題/領域番号 |
15K18350
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牛丸 弥香 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90604554)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大脳皮質 / スピンドル波 / ガンマ波 |
研究実績の概要 |
睡眠時や麻酔下の大脳皮質から記録した脳波では徐波振動が観察され、個々の錐体細胞と同期して脱分極 (Up) 相と過分極 (Down) 相を繰り返している。さらにそのUp 相の中にはガンマやスピンドルという振動が含まれる。ガンマ波の発生には皮質の抑制性細胞が主要な役割を果たし、スピンドル波は視床網様核がそのリズム生成に重要であると知られている。しかし、その詳細な生成メカニズムや神経活動との関係性は未だ良くわかっていない。本研究では、サブタイプや層を同定した大脳皮質神経細胞の発火活動とスピンドル波・ガンマ波と相関を調べ、これらのリズムの生成機構や皮質内での機能解明への貢献を目指す。 今年度は、ラットの大脳皮質において、皮質下の投射先が異なる2 種類の錐体細胞と非錐体細胞(GABA 細胞)を傍細胞記録で逆行性応答やスパイク幅によって同定した。ユニット活動の記録終了後、記録細胞を染色した。実験終了後、灌流固定し記録細胞の組織化学的処理及び皮質の層の同定を行った。以上のように、電気生理学・形態学・免役組織化学的手法を組み合わせて同定した皮質細胞のサブタイプ・サブレイヤー(主にⅡ/Ⅲb, Va, Vb)ごとにスピンドル・ガンマ振動での発火位相の解析を開始した。 申請者らは、以前に視床細胞と皮質の5層錐体細胞の一部が、スピンドル波の異なる位相で発火することを明らかにした。また、視床から皮質への入力密度は皮質サブレイヤーに依存するため、視床由来とされるスピンドル波と各細胞タイプの発火特性の間には特異的な関係がある可能性が高い。ガンマ波についても、抑制性細胞・錐体細胞のタイプに依存して発火時期が分化している可能性がある。さらに、錐体細胞のスピンドル波・ガンマ波中での発火位相が投射サブタイプに依存するかどうかについても検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットの大脳皮質において、皮質下の投射先が異なる2 種類の錐体細胞[皮質橋核細胞,corticopontine (CPn) cell、交叉性皮質線条体細胞, crossed corticostriatal (CCS) cell]と非錐体細胞(GABA 細胞)を傍細胞記録で逆行性応答やスパイク幅によって同定した。ユニット活動の記録終了後、ニューロビオチンを細胞に注入し記録細胞を染色した。実験終了後、灌流固定し、記録細胞の組織化学的処理及び2型小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGluT2)の免疫組織化学を用いた皮質のサブレイヤーの同定を行った。 複数の皮質細胞のサブタイプにおいて、各サブレイヤー(主にⅡ/Ⅲb, Va, Vb)からのデータを取得することが出来た。現在、個々の細胞においてスピンドル・ガンマ波とのカップリング状況を解析している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究課題に沿ってデータの解析を行う。染色状態が良好で形態の解析が可能な細胞については、その形態をNeurolucidaで再構成し、形態学的解析も加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動により、物品の購入時期が遅れた為。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定だった物品を次年度に購入し、研究を継続する。
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