研究課題
サル大脳皮質V4野は、物体認識にかかわる情報処理経路の中段に位置する。V4細胞は曲線やテクスチャなどの複雑な視覚特徴にたいして応答選択性を示す。この応答特性の形成にV4野内の局所の神経回路がどのように貢献しているかを明らかにするために、まず、局所に存在する個々の細胞の応答特性を解析する方法の確立を行った。人、動物、文字、風景を含む動画(自然動画)を提示中のマカカ属サルの初期視覚野V1野に対して2光子カルシウムイメージングを行い、局所に存在する個々の細胞から視覚応答を同時に計測した。自然動画にたいする応答を再現する数理モデル(符号化モデル)を個々の細胞に対して作成した。作成した符号化モデルは、新規の自然動画刺激に対する実際の細胞の応答を高い精度で予測することができた。さらに、この符号化モデルが予測した方位選択性や空間周波数選択性は過去の知見と一貫性があった。これらのことから、2光子カルシウムイメージングと符号化モデルを用いた解析を合わせて用いると、局所に存在する個々の細胞の様々な刺激に対する応答を解析できることが示された(Ikezoe et al., submitted)。すでにV4野細胞についても自然動画を提示中の応答を2光子カルシウムイメージングで計測しており、局所に存在する細胞の応答特性、応答特性に基づいた細胞の配列、細胞間の活動同期性について解析し、V4野細胞集団による視覚情報の符号化様式や局所神経結合について検討を行っている(投稿準備中)。
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信学技報
巻: vol. 116, no. 521, NC2016-89 ページ: 149-154
http://researchmap.jp/ikezoe/