マウス大脳新皮質と海馬CA1の錐体細胞は生まれた場所から放射状グリア線維に沿って移動する事が知られている。両者の移動機構においては多くの共通点が報告されているが、その移動形態を比較した結果、大きく異なる事を見いだした。形態が異なる原因を解明するために、異所的な移植実験や大脳新皮質で報告されている細胞移動関連分子の機能阻害実験を行った結果、大脳新皮質錐体細胞の移動に必須である細胞接着因子がCA1でも重要であることが明らかになった。一方、大脳新皮質へCA1錐体細胞を異所移植すると移植された場所に適応しないことから、大脳新皮質内の移動領域には特異的な環境が存在する可能性が示唆された。
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