研究課題
脳は複数の神経細胞種からなり、それそれが協調的に働くことにより様々な脳機能を発揮すると考えられている。近年、神経活動を測定するために、特定の神経細胞種に発現させることができ、長期観察可能である遺伝子にコードされたCa2+インディケーター(以下GECIと略)が広く用いられている。しかしながら、これまで生きたマウス個体で計測可能な色域は緑、赤色と限られているため、同時に3種類以上の細胞種の神経活動を測定した例はなかった。そのために、微小神経回路における異なる神経細胞種同士の時空間制御の理解が遅れていた。本研究課題では生きたマウス個体内において神経活動が測定可能な多色(黄色及び青色)のGECIを作成することを目的とする。本研究計画の最終年度である平成28年度において、前年度までに生体マウス内において1発の活動電位に対して高感度に蛍光変化し、かつ発火回数に対して線形的に蛍光変化する新規の緑色GECIを鋳型にし、黄色及び青色GECIの可能性を検討した。その結果、精製タンパク質レベルでカルシウム応答性が線形的に変化する黄色化、青色化したセンサーを単離した。これらを元にさらなる変異を導入し、最適化した黄色及び青色GECIを作出する点変異部位を見出した。予備的実験において、培養細胞を用いて、これら2種類のGECIと前年度までに作出済の緑色及び赤色GECIを用いて、同時に4種類の細胞のCa2+イメージングに成功している。今後さらなるこれらの有用性を確認する実験を行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Journal of Neurochemistry
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.1111/jnc.14020.
Nature Methods
巻: 13 ページ: 325-328
10.1038/nmeth.3770