研究課題
前脳特異的なカルシニューリン欠損マウスは、顕著な作業記憶の障害、活動量の亢進などの統合失調症様の表現型異常を示す。このことから前脳特異的カルシニューリン欠損マウスは妥当性の高い統合失調症モデルマウスであると考えられる。しかしながら、カルシニューリン機能の低下が「いつ、どのくらいの期間続く」ことが、種々の統合失調症様の表現型異常を引き起こすのかは不明である。本計画では、内在性のカルシニューリンインヒビターの一つであるZaki4に着目し、doxycycline投与により任意の時期にZaki4の発現を抑制することが可能な、カルシニューリン活性を時期特異的にコントロールできるマウス(tTA/Zaki4ダブルトランスジェニックマウス)を使用した。tTA/Zaki4ダブルトランスジェニックマウスは、doxycyclineを与えない限りZaki4が発現するため、カルシニューリン活性が抑制された状態にある。前年度までに繁殖させたマウス群を用いて、カルシニューリン活性を約8週齢まで低下させた後に、doxycyclineの投与の有無によりカルシニューリン活性を変化させ網羅的行動解析を行った。オープンフィールドテストや高架式十字迷路テストにおける活動量の増加は、8週齢以降のカルシニューリン活性と関連がある可能性を示唆するデータを得た。しかしながら、今回の実験においては、カルシニューリンの活性変化以外の、性差やdoxycyclineの有無等に起因すると考えらるデータのバラツキにより、作業記憶等については明確な傾向を得る事は出来なかった。
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Neuropsychopharmacology
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