研究課題
ミオシンVI(Myo6)突然変異は優性の進行性難聴の発症原因となる。これまで本研究では、Myo6-ksvヘテロマウスが生じる進行性難聴はミスセンス変異(p.Glu461Lys)の優性効果に加え、カドヘリン23多型の効果により表現型が重篤化することを明らかにした。本年度は、第二の目的であったヒト優性難聴発症の原因となる変異部位(p.Cys442Tyr)を模倣したモデルマウスを樹立し、その変異効果を検証した。MYO6-p.Cys442TyrマウスはCRISPR/Cas9システムを介して作製し、変異アレルホモおよび野生型/変異アレルヘテロ個体の聴力に関わる表現型を調査した。2ヵ月齢のホモ接合体の聴力レベルを聴性脳幹刺激反応(ABR)の測定によって調査した結果、ホモ接合体は測定した4, 8, 16および32 kHzのすべての周波数音で重度難聴を発症し、歪成分耳音響放射(DPOAE)もほぼ検出されなかった。また、同月齢のヘテロ接合体は4および32 kHz の周波数音のABRにおいて中等度および高度難聴が示唆され、DPOAEも野生型と比べ有意に低下していた。次に、有毛細胞の表現型を観察した結果、ホモ・ヘテロ個体にはともに外有毛細胞の部分的な脱落が検出され、ホモ個体では感覚毛融合も認められた。さらに、MYO6の有毛細胞における局在を調査した結果、ホモ・ヘテロともに異常局在が認められたことから、本研究の結果は、先行研究のキネティクス解析により示唆されているMYO6-p.Cys442Tyr変異によるミオシンモーター機能の低下を支持するものとなった。
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PLoS One
巻: 12 ページ: e0183477
10.1371/journal.pone.0183477
http://www.igakuken.or.jp/mammal/index.html