本研究で、我々はp53がアルギニノコハク酸合成酵素ASS1の発現制御を介して、アミノ酸の1つであるアルギニンの生合成経路を制御していることを見出しました。さらにp53によるASS1の発現制御は、がん遺伝子産物であるAktの活性レベルのコントロールに重要な役割を担っていることを明らかにしました。またがん細胞内のアルギニン生合成経路を制御することで、既存の抗がん剤の効果が増強される事が示されました。 本研究はp53による代謝制御メカニズムの一端を紐解いたもので、がん細胞内の栄養状態の理解や有効ながん治療法の開発に向けた重要な一歩であると考えられています。
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