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2015 年度 実施状況報告書

がん蛋白質SHP2によるParafibromin機能制御の医学生物学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K18399
研究機関東京大学

研究代表者

高橋 昌史  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00624496)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードParafibromin / SHP2 / YAP/TAZ
研究実績の概要

(課題1)SHP2によるParafibromin機能制御の生理的役割および発がんへの関与を解明する。
SHP2によりチロシン脱リン酸化されたParafibrominを模倣するチロシンリン酸化耐性型分子(Parafibromin-F290/F293)を発現する改変型Hrpt2アリルをもつノックインマウス個体の作出を達成した。得られたHrpt2改変マウスとCreおよびFLP組替え酵素発現マウスとの交配実験から、胎生期におけるParafibromin-F290/F293の発現がマウスの発生に致死性の影響を与えることを見出した。この結果を受けて、CreおよびFLPを誘導性に発現するマウスと交配を行い、タモキシフェン投与依存的にParafibromin-F290/F293を発現するコンパウンド個体を得た。
C端側を欠失した改変型Parafibrominを発現するHrpt2ノックインマウスの樹立を達成した。この改変型Hrpt2アリルをヘテロ接合性で保有する個体が得られた一方、ホモ接合性個体は得られなかったことから、ParafibrominのC端側がマウスの発生に不可欠の機能を持っていることが明らかになった。
(課題2)YAPスプライシングバイリアントの構造多様性によるParafibromin機能制御機構の検討。
8種のヒトYAPスプライスバリアントをSHP2と複合体を形成できるバリアントとできないバリアントに大別した。YAP分子内に存在するSHP2-YAP複合体形成の責任領域を同定した。TAZの各種変異体を用いた解析から、TAZがSHP2-YAP複合体形成に担う役割を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2つの独立したHrpt2改変ノックインマウス系統の樹立を達成し、組替え酵素発現マウスとの交配実験を介して新たな知見を得たため。組織特異的プロモーターの下流でCre組替え酵素を発現するマウスとHrpt2-F290/F293ノックインマウスの交配を行い、組織特異的なParafibrominの機能解析を同時に進めているため。また、Parafibrominの機能をin vitro実験系で解析するために、ウイルスベクターを用いた強制発現系および発現抑制系を作製した。
今日まで不詳であるYAPバリアント間の機能の差異を示唆する知見を得たため。YAP-mRNA前駆体の選択的スプライシングを調節するシスエレメントおよびシスエレメント結合因子の探索をWeb上の各種データベースおよび解析プログラムを用いて進めており、その候補を選定しつつあるため。

今後の研究の推進方策

(課題1)SHP2によるParafibromin機能制御の生理的役割および発がんへの関与を解明する。
タモキシフェン依存性誘導型Parafibromin-F290/F293発現マウスの表現系解析を進めながら、より効率良くParafibromin-F290/F293を発現する実験条件(組替え酵素発現マウスの選択、タモキシフェン投与方法など)を試行のうえ決定する。組織特異的発現型Hrpt2改変マウスの表現系解析を行う。ウイルスベクターを用いて各種Parafibromin改変分子を安定的に発現する細胞クローンおよびオルガノイドを樹立し、これを利用することでマウス個体で観察された表現型の発生機序をin vitroで解析する。
C端側欠失型Hrpt2改変マウスの表現型を観察する。既に報告されているHrpt2ノックアウトマウスの表現型と比較することで、ParafibrominのC端側部特異的な役割を明らかにする。
(課題2)YAPスプライシングバイリアントの構造多様性によるParafibromin機能制御機構の検討。
SHP2複合能を持つYAPバリアントおよび結合能を持たないYAPバリアントをそれぞれ強制発現あるいは選択的発現阻害する細胞クローンおよびオルガノイドを樹立し、SHP2-YAP複合体の細胞機能における生物学的役割を明らかにする。YAP-mRNA前駆体の選択的スプライシングの制御因子を同定し、スプライシング制御の組織特異性を解析するとともに、その制御異常がSHP2局在、Parafibromin機能および発がんに寄与するか検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Determination of the catalytic activity of LEOPARD syndrome- associated SHP2 mutants toward parafibromin, a bona fide SHP2 substrate involved in Wnt signaling2016

    • 著者名/発表者名
      Saori Noda, Atsushi Takahashi, Takeru Hayashi, Sei-ichi Tanuma and Masanori Hatakeyama
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 469 ページ: 1133-1139

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.12.117

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] LEOPARD症候群特異的変異型SHP2のin vitro脱リン酸化試験による酵素活性解析2016

    • 著者名/発表者名
      野田沙織、高橋昌史、林剛瑠、田沼靖一、畠山昌則
    • 学会等名
      日本薬学会 第136年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-03-26 – 2016-03-29
  • [学会発表] Parafibromin acts as a signaling hub that orchestrates the Wnt, Hedgehog and Notch signaling pathways2015

    • 著者名/発表者名
      菊地逸平、高橋昌史、野嶋奈津紀、畠山昌則
    • 学会等名
      第74回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [図書] 実験医学 11月号 発生・器官形成、がん悪性化に関わるHippoシグナル2015

    • 著者名/発表者名
      高橋昌史、畠山昌則
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2017-01-06  

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