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2015 年度 実施状況報告書

炎症性微小環境で活性化されるNox複合体/ROSによる胃がん発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K18405
研究機関金沢大学

研究代表者

越前 佳奈恵  金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (20743834)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード胃がん / 慢性炎症 / ROS / Noxo1
研究実績の概要

本研究は、炎症依存的ながん発生メカニズムを解明する一端として、Noxo1を含むNox1複合体によって産生されるROSが胃がん発生において果たす具体的な役割を明らかにすることを目的として行っている。具体的には、Noxo1遺伝子コンディショナル欠損マウスを作製し、胃がん発生モデルマウスであるGanマウスとの交配実験によって、Noxo1の遺伝学的機能の解明を目指すと同時に、胃がん細胞株を用いた、Noxo1ノックダウン実験及び強制発現実験を行うことによって、Noxo1の分子細胞学的な機能を明らかにすることを目的とする。
①遺伝子改変マウスの作製状況:Noxo1の遺伝学的機能の解明を目的として、Noxo1(flox/flox)マウスの作製を行っている。Noxo1(flox/flox)Villin-CreERT2マウスにおいて、タモキシフェン投与依存的にNoxo1の遺伝子を欠損できることを確認した。現在B6系統への戻し交配はN7まで進んでいる。
②Noxo1遺伝子発現調節機構の解明:3種類の胃がん細胞株(SNU601、SNU719およびKATOⅢ)を用いて、培地へのTNF-α添加実験、Noxo1のプロモーターアッセイ、p65のノックダウン実験を行い、Noxo1がTNF-α依存的に活性化されたp65によって直接転写制御を受けることを明らかにした。また、Noxo1ノックダウン実験を行い、TNF-α刺激後のROS産生にNoxo1が必要であることを明らかにした。以上の結果から、TNF-αによるNoxo1を介したROS産生機構について、in vitroレベルでの制御機構を明らかにした。
③Nox1複合体の阻害剤の経口投与によって、Ganマウスの腫瘍形成が抑制されることを明らかにした。この結果は炎症環境依存的な発がんにおけるNox1複合体のin vivoレベルでの重要性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Noxo1コンディショナル欠損マウスの作製について、申請時にはNoxo1(flox/flox)マウスとRosa-CreERT2マウスとの交配実験を予定していたが、Noxo1(flox/flox)Rosa-CreERT2マウスの胃粘膜上皮組織において、Tmx投与後に目的のノックアウト効率が得られなかったため、Cln18-CreERT2マウスを新たに作製してNoxo1(flox/flox)マウスとの掛け合わせを進めている。また、胃がん細胞株を用いたin vitroでの実験は、ほぼ予定通り進行している。
さらに、Nox1複合体に対する阻害剤の投与実験において、抗腫瘍効果が得られたことから、炎症環境依存的な発がんにおけるNox1複合体の重要性をin vivoレベルで示すことができた。

今後の研究の推進方策

今年度は、Noxo1(flox/flox)Cln18-CreERT2 Ganマウスの作製を行い、マウス胃がん腫瘍組織の病理学的解析を行うことによって、胃がん発生におけるNoxo1の遺伝学的機能を明らかにする。また、これらGanマウスの腫瘍上皮細胞をオルガノイド培養し、形態の評価および分化・未分化マーカーでの染色を行うことによって、Noxo1の幹細胞性への寄与を評価する。以上の結果から、in vivoにおいて確認されたフェノタイプに基づいて、胃がん細胞株を用いたNoxo1ノックダウン実験および強制発現実験を行い、Noxo1が関与する細胞生理学的機能を明らかにする。さらに、Noxo1ノックアウトマウスの腫瘍組織を用いて遺伝子発現解析を行い、これらの表現型に関与するシグナル経路を明らかにする。特に、間質細胞と腫瘍上皮細胞との相互作用による現象を解析するため、RAW264.7やTHP-1などのモノサイトと胃がん細胞との共培養実験を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Inflammation in gastric cancer: Interplay of the COX-2/prostaglandin E2 and Toll-like receptor/MyD88 pathways2016

    • 著者名/発表者名
      Kanae Echizen, Osamu Hirose, Yusuke Maeda and Masanobu Oshima
    • 雑誌名

      Cnacer Science

      巻: 107 ページ: 391-397

    • DOI

      10.1111/cas.12901

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Myeloid Differentiation Factor 88 Signaling in Bone Marrow-Derived Cells Promotes Gastric Tumorigenesis by Generation of Inflammatory Microenvironment.2016

    • 著者名/発表者名
      Maeda Y, Echizen K, Oshima H, Yu L, Sakulsak N, Hirose O, Yamada Y, Taniguchi T, Jenkins BJ, Saya H, Oshima M.
    • 雑誌名

      Cancer prevention research

      巻: 9 ページ: 253-263

    • DOI

      10.1158/1940-6207.CAPR-15-0315

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 炎症依存的な胃がん発生におけるNoxo1の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      越前 佳奈恵
    • 学会等名
      第74回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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