炎症性ケモカインCCL3を介して腫瘍部位に集積したCCR5発現線維芽細胞が、増殖因子を産生し、大腸がん発症進展過程に重要な役割を果たしていることをこれまでに明らかとしてきた。この結果に基づき、CCR5を標的分子とした大腸がん治療法の可能性を検討した。マウス大腸がん細胞株またはヒト大腸がん細胞株をマウス盲腸壁への同所接種後に、CCR5阻害剤であるマラビロックを投与すると、腫瘍部位への線維芽細胞の集積ならびに線維芽細胞による上皮増殖因子(EGF)の発現の減弱とともに、腫瘍形成が抑制された。以上の結果から、CCL3-CCR5系を標的とした大腸がん治療法の有効性が示唆された。
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