研究課題/領域番号 |
15K18430
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
加藤 清仁 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20596077)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Metformin / 癌抑制効果 / 膵臓癌 / 胆管癌 |
研究実績の概要 |
抗糖尿病薬Metforminは安価であり医薬品としての使用経験も長く、一般的な抗癌剤に比べて明らかに副作用が少なく安全に使用できる薬品である。本研究は、その抗糖尿病薬Metforminによる難治性消化器癌への抑制効果をin vitro, in vivoの系で証明することであり、そのターゲットとなるmicro RNAを同定することが目的である。 Metforminの発癌抑制効果について、まずは膵臓癌、胆管癌において研究を進めた。Metformin投与群と非投与群を、まずはin vitroで比較し、Metforminが細胞周期関連蛋白(とくにCyclinD1)の発現を抑制し、G0/G1期における静止を励起し、癌細胞増殖を抑制していることを証明した。in vivoの系においてもヌードマウスに癌細胞を皮下移植し、Metforminを腹腔内投与した群とコントロール群を比較した。Metformin投与群において、その腫瘍体積が減少していることを確認し、腫瘍から採取した細胞周期関連蛋白をWestern bottingを用いて解析した。Metformin投与群において、その細胞周期関連蛋白の発現減少を認め、in vitroの系と同様にG0/G1期静止を励起し、癌細胞増殖を抑制していることを証明した。 また、これらMetforminの癌抑制効果がmicroRNAに与える影響をアレイを用いて網羅的に解析したところ、クラスター解析においては、Metformin投与群と非投与群において異なるクラスターが作成され、癌細胞内のmicroRNAがMetfominにより誘導されたことを証明した。また、これら誘導されたmicroRNAのうち、細胞周期関連蛋白をターゲットとしたmicroRNAが幾つか認められ、細胞周期関連蛋白の発現減少にmicroRNAが関与している可能性も示唆された。 これら結果を国内の主要消化器関連学会にて発表し、また国際主要消化器病学会(UEGW2015)においても発表を行った。さらには、これら結果を英文紙にまとめて、英文紙2報に投稿し採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種の難治性消化器癌のおいてMetforminの癌抑制効果にについて計画通り進め、主要学会での発表および英文紙投稿が可能であったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、その他の難治性消化器癌である胆嚢癌などに対するMetfominの癌抑制効果について、研究を行い、またこれら研究から得られたmicroRNAなどの結果を用いて、さらに研究を進め、これら難治性消化器癌の新たなバイオマーカーの作成や、創薬につながる研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
第23回欧州消化器病学会(スペイン)での発表に抄録が採択され、参加し当該研究テーマを発表でき、旅費が当初計画よりも必要とされたため旅費が当初計画よりも費用がかかったため。 また、miRNAsのアレイやクラスターを解析すすためのソフト、cell line、既存のものを使用することができたため、予定使用額より物品費は少なく実験が遂行できた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、本年度得られた、metformin投与によって増減を認めた、microRNAにおいて、それぞれの消化器癌細胞株でRNAやanti-RNAを導入することにより、膵臓癌で効果のある、新規薬剤の創生などについて検討を加えていきたい。
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