多剤化学療法や分子標的治療の問題点である腫瘍細胞の抗癌剤耐性能獲得を解決すべく、腫瘍マクロファージ(TAMs)が腫瘍細胞の幹細胞様特性の獲得とそれに伴う発癌活性促進を誘導する分子機序の解明を目的として、本研究課題を遂行してきた。その結果、TAMs由来のIL6とHB-EGFが腫瘍細胞の幹細胞様特性の獲得に関与し、それらの腫瘍細胞は高い発癌活性を有することが分かった。IL6欠損もしくはHB-EGF欠損マクロファージを有するマウスを用いて腫瘍形成能と抗癌剤効果を調べた結果、腫瘍形成の抑制と抗癌剤効果の向上が確認された。本研究の結果は、癌治療への新しい治療方法の基礎的知見として有用なものといえる。
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