悪性末梢神経鞘腫(MPNST)は軟部肉腫の一疾患であり、有効な治療薬がなく予後不良で、新規治療薬の開発が待望されている。申請者は、デプシペプチド類化合物がHDAC/PI3K2重阻害という新しい作用機序でがん細胞の増殖を抑制することを見出してきたが、既報告からMPNSTを含む軟部肉腫に対する効果が期待された。本研究では、MPNST細胞株を用い、デプシペプチド類化合物の効果を評価した。MPNST細胞は増殖速度が遅くマウスモデルによる実験系の確立が困難であったため、線維肉腫細胞を用いて実験を行い、抗腫瘍効果とその効果にHDAC/PI3K 2重阻害という作用機序が関与していることを明らかにした。
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