研究課題/領域番号 |
15K18437
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 修平 山形大学, 医学部, 助教 (90637175)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / JNK / 活性酸素種 / xenograft / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
申請者は、これまでに、癌幹細胞(Cancer stem-like cells : CSLCs)において重要な役割を果たすシグナル伝達経路の一つとして報告されている、c-Jun N-terminal Kinase(JNK)経路を標的とした癌幹細胞の薬剤感受性回復を狙う治療戦略について研究を行ってきている。今回研究実績の概要として報告する、初年度の研究実績としては、PANC-1、PSN-1などといった代表的な膵癌細胞株に由来する癌幹細胞のほか、非小細胞肺癌やグリオブラストーマ、その他さまざまな癌種に由来する癌細胞株について、JNKの代表的な薬理学的阻害薬であるSP600125や遺伝子学的阻害であるJNK遺伝子ノックダウン法を用いて解析を行い、以下のような知見を得た。 予備的な知見や申請者らが過去に行った報告に沿い、活性酸素種とその周辺の分子機構を中心に様々な検討を行ったところ、CSLCsにおいてはJNK経路を阻害することで、5-FUやgemcitabineといった膵臓癌に用いる代表的な抗癌剤を投与する際に発生する活性酸素種を増加させることができるが、その機序として活性酸素種のスカベンジ経路の減弱が関与していることを示唆する結果を得ることができた。活性酸素種のスカベンジ経路のうち、例としてカタラーゼなど、特定の遺伝子の発現の低下を認めるものの、さらに詳細な機序については現在も検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的データから立てた仮説に沿い一部の結果を順調に得ているものの、十分に得られていない部分も存在し、原因や機序についても合わせて検討を行っている。
上記より、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに部分的に得られている結果より、癌幹細胞へJNK経路を阻害することで薬剤感受性回復が起きる理由の一つとして、活性酸素種の上昇が増幅され、それは活性酸素種のスカベンジ経路の減弱による機序が示唆されている。 今後は、その詳細な機序を探るとともに、他癌種・他抗癌剤にも結果を演繹することができるのかどうか、できないならばなぜできないのかなどを明らかにしていきたいと考えている。 また、それらin vitroで得られた結果をヌードマウスへの皮下移植を用いたin vitro動物実験でも再現できるかどうかを検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヌードマウスの飼育が次年度にも及ぶため、それに係わる費用が必要であることと、詳細な分子機構の探索にあたり、抗体や遺伝子ノックダウンに係わる費用が多く必要になることが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
癌幹細胞の培養に必要な物品、遺伝子ノックダウンなどの試薬の購入および、動物実験に用いるヌードマウスの飼育等にかかる費用として使用する予定である。
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