膵臓癌は極めて悪性度が高く、手術で切除できたとしても術後早期に再発患者も多い。また抗癌剤治療を行っても、やがて治療抵抗性となることも知られている。我々は膵臓の発生段階での分化を制御するとされているSox9という転写因子に注目し、Sox9の発現の強弱が膵臓癌手術後の予後と関連することを見出した。そこで、膵臓癌由来の細胞株を用いて検証したところ、Sox9の強い発現は抗癌剤に対する耐性と関連し、この抗癌剤耐性を持った細胞は、癌幹細胞の性質をもっていることを証明した。さらにマウスの皮下腫瘍モデルにおいても、Sox9は腫瘍形成能と関連しており、Sox9は膵臓癌の治療対象となり得ることを示した。
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