FGFR阻害薬AZD4547高感受性肺扁平上皮癌細胞株に対してAZD4547を長期間曝露することで樹立したFGFR阻害薬耐性株を用いて、もとの細胞株とマイクロアレイを用いて、発現変化を来した遺伝子を確認した。そのうち、過去の文献報告とあわせて、耐性化に関わっている可能性がある遺伝子を発現上昇したもの11個、発現低下したものを9個にしぼった。 また、もとの細胞株および耐性株に対してRNA sequenceを用いて、新たな変異遺伝子の出現がないかを解析したが、意義のあると思われる変異は検出されなかった。 また、FGFR阻害薬耐性において、下流のpathwayをWestern blottingで確認したところ、その活性化(リン酸化)に変化が見られていることが確認されたが、その多くはもともとAZD4547を投与しても抑制されないか、あるいはリン酸化が亢進していてもAZD4547投与により抑制されるものが多かったことが確認された。なお、FGFR1そのものには遺伝子変異を認めなかった。 そこで、マイクロアレイの結果に基づき発現上昇しているものについてはその遺伝子の阻害薬があれば阻害薬を併用することでの相乗効果/耐性化の解除を、発現低下しているものについては、レンチウイルスベクターを用いて強制発現させることで耐性化の解除を来すか検討している。また、もとの細胞株に強制発現等を行うことで耐性化を来すかどうかも並行して検討している。またpathway解析の結果に基づき、活性化したpathwayの阻害薬を併用することで耐性化の解除を来すかについても解析を進めている。
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