研究課題
昨年度、申請者はマウス由来肺がん細胞株であるLewis lung carcinoma (LLC)を用いて、自己分泌型セマフォリン3A (Sema3A)の細胞増殖、細胞死、薬剤感受性、そしてがん幹細胞の自己複製能への影響について解析を行った。その結果、Sema3Aをノックダウンした場合、Ki67陽性細胞数の減少は観察されたが、アポトーシスには変化は見られなかった。肺がんの治療に使用されているゲフィチニブへの感受性はSema3Aのノックダウンにより増加した。また、樹立した肺がん幹細胞株においては、Sema3Aのノックダウンにより、自己複製能の欠落及び幹細胞マーカーの発現減少が生じることが判明した。さらに、Sema3Aのノックダウンにより、腫瘍原生能が消失することを明らかとなった。これらのことから、自己分泌型Sema3Aは肺がん細胞の恒常性維持に重要な役割を担っていることが示された。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、自己分泌型Sema3Aの肺がん細胞における機能がin vitro及びin vivoの実験系で明らかとなってきている。薬剤感受性に関しては、まだ網羅的な解析が出来ておらず、今後の研究課題である。従って、昨年度の本研究課題は概ね順調に進展していると考えられる。
昨年度の研究成果により、Sema3Aが、肺がんにおいては癌遺伝子として機能することが明らかとなった。そこで、今年度はSema3Aの下流シグナルの解析、そして、Sema3Aの受容体をノックダウンした際にも同様の表現型が観察されるかについても解析する予定である。
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Biosci Biotechnol Biochem.
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